<アンチ・ドーピング>安全なサプリメントや化粧品の選び方

<アンチ・ドーピング>安全なサプリメントや化粧品の選び方
安全なサプリメントや化粧品の選び方

「このサプリメントはアスリートが使用しても安全?」「過去、化粧品でのドーピング違反の話を聞いたことがあるのよね・・・。」世界的にサプリメントなどによるドーピング違反の報告が多数あることから、サプリメントや化粧品などを購入する際、製品の安全性を気にした経験のあるアスリートは多いのではないかと感じます。
今回はアスリートやトレーナー向けに、サプリメントや化粧品などの安全な選び方について解説します。

スポーツニュートリション市場とアンチ・ドーピング

スポーツ向けの製品が増える一方、アンチ・ドーピング対策は・・・

2010年代初頭から年々盛り上がりを見せている日本のスポーツニュートリション市場。2019年11月20日付の日本経済新聞のプレスリリースによると、スポーツニュートリションの市場規模は年々右肩上がりで成長しています

1.市場概況
スポーツサプリメント・ボディメイクサプリメントの2018年度市場規模は前年度比2.2%増の484億6,000万円と推計した。2015~2017年度に見られた高い成長率は落ち着きを見せたものの、市場は引き続き拡大基調である。
3.将来展望
スポーツサプリメント・ボディメイクサプリメントの2019年度の市場規模は前年度比2.7%増の497億7,000万円を見込む。

2019年11月20日付の日本経済新聞のプレスリリース 一部抜粋

大手通販サイトやスポーツショップなどでも様々なサプリメントや飲料、一部の化粧品が取り扱われるようになったことから、アスリートの方々も選択肢が増えたと実感しているのではないでしょうか。


一方で健康産業新聞の1688号では、スポーツニュートリション市場の盛り上がりについて注目しつつも、スポーツニュートリションを取り扱う食品・化粧品メーカーのアンチ・ドーピング対策の普及が追い付いていないことを指摘しています。

「アンチ・ドーピング認証の普及によりアスリートが安心してサプリを活用できる環境が整えば、市場はさらに拡大する」 (アンチ・ドーピング認証機関関係者)

健康産業新聞第1688号

スポーツ向けの製品が出てきている一方、アンチ・ドーピング対策が追い付いていないため、アスリートが安全に使用できる製品はまだ少ない状態なのです。

サプリメントによるドーピング違反

誤表記?サプリメントでのドーピング違反
2016年、当時サンフレッチェ広島に所属していた選手が試合後にドーピング検査を受けた結果、S6.奮薬に分類される「メチルヘキサンアミン(methylhexaneamine)」というドーピング禁止物質が検出されました。原因はチームで採用していた海外製のビタミン系サプリメント。原因となった製品のパッケージには「ドーピング規定に違反する成分は一切使用していません」という表記が日本語でされていたことなどから、チームでも採用をしていたようです。しかし実際は分析されていなかった可能性も疑われており、サプリメントから検出され違反となりました。

初の国産サプリメントによるドーピング違反
2019年11月末、残念なことに今まで安全とされていた国産のサプリメントからS1.蛋白同化薬に分類される「オスタリン(ostarine)」というドーピング禁止物質が検出され、競泳選手がドーピング違反となりました。同選手は日ごろから特に口に入れるものに関してドーピングについて注意を払っており、原因となったサプリメントを使用前にも、メーカーに安全性を確認していたようです。
しかし安全性を主張したメーカーは、製品を分析してドーピング禁止物質の混入を確認していたわけではなく、原材料で使用していないということを理由に、安全性を主張していました。
また同選手が根拠のないものを使用した背景には、他のトップアスリートの使用もあったとされています。

危険性のある製品と安全な製品の見分け方

上記のドーピング違反事例から、サプリメントをはじめ飲料や化粧品などの製品の危険性についてご理解いただけたのではないでしょうか。最後にアスリートにとってドーピングの危険性のある製品と、安全性の高い製品の見分け方について解説します。

危険性のあるサプリメント、飲料、化粧水とは

1 : ドーピング禁止物質について未分析の製品
アスリートの方々は信頼するトレーナーや栄養士、家族などから製品を勧められた場合、安全性を確認せずに使用する人が多いと聞きます。2019年11月初のドーピング違反事例のように、未分析品は一定の危険性があります。
たとえ信頼できる相手から勧められたサプリメントでも、ドーピングの安全性に関する根拠を明確にし、使用する際は確認した記録も残しましょう。

2 : 分析結果が公開されていない製品
分析結果が公開されていても、使用する賞味期限や製造LOTによっては分析されていないものが存在します。また、2016年のサンフレッチェ広島に所属していた選手のドーピング違反事例のように、製品にはドーピング分析済みの記載があっても違反になるケースもあります。
パッケージに記載がありながら違反になるというのはとても稀なケースですが、分析済みという文言しか掲載していない製品についても使用を控えた方がよいでしょう。

安全なサプリメントの選び方

1 : JADA公開のガイドラインを理解すること
サプリメントによるドーピング違反が後を絶たないことから、JADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)はドーピングに関する有識者を集め会議を開きました。2019年4月にはスポーツサプリメントの使用に関するガイドラインを発行させ、現在は自身のHPで公開しています。
スポーツにおけるサプリメントの製品情報公開の枠組みに関するガイドライン

このガイドラインはアスリートがサプリメントや飲料などによるドーピング違反のリスク低減を目的に発行されており、サプリメントメーカーや製品分析などを行う認定機関に対し基準が公開されています。
アスリートの方々は、製品を安全に使用するためにはガイドラインでメーカーに対し求められている、以下3点を知っておくことが必要です。

<JADA公開のガイドラインで求められている3つのこと>
1: 年1回以上、製品に対しドーピング禁止物質の分析をすること
2 : GMPなどを取得した工場で製品を製造すること
3 : 分析結果と工場に関する情報を公開すること


上記3点を企業のHPや直接の問い合わせで確認し、安全性が確認できれば、アスリートは製品を使用してもドーピング違反になるリスクは低減されると判断できると言えます。

2 : 第三者認証を取得した製品と分析済みの製品は安全性が高い
危険性の高いサプリメントの一例として、分析済みの文言は掲載されているものの、分析結果の確認ができないものを挙げましたが、実際にアスリートがガイドラインの概要を知り、問題ないと判断するのは難しいと言えます。
そこで、ガイドラインに準じていると判断できる認定機関のサービスをいくつか紹介します。サプリメントなどを使用する際のヒントにしてみてください。

<第三者認証>
NSF Certified for Sport (NSF社:アメリカ)
BSCG CERTIFIED DRUG FREE (BSCG社:アメリカ)
Informed-Choice / Informed-Sport (LGC社:イギリス)
<分析>
合同会社イルホープ (日本)
公益財団法人日本分析センター (日本)
Cologne List (ドイツ)

※世界中には様々な分析サービスがありますが、ここでは、分析結果をHPで公開もしくは問い合わせた時に開示に応えていただいたサービスについて紹介しています。

なお、第三者認証と分析の違いについては以下で解説しています。
アスリートに知ってほしい、アンチ・ドーピング認証と分析の違い

サプリメントや飲料、化粧品購入時の落とし穴

これまで安全なサプリメント・化粧品の選び方を紹介しましたが、
以下の点についても注意をしておきましょう。

1 : 100%安全な第三者認証、分析サービスは存在しない
安全なサプリメントや飲料、化粧品の選び方を紹介しましたが、あくまでこれらは100%ドーピング・フリーを証明できる方法ではありません。
なぜならば、ドーピング禁止物質はWADA(世界アンチ・ドーピング)がすべてのドーピング禁止物質を外部に公開しているわけではないから、というのが主な理由です。

2 : アンチ・ドーピングサービスによって分析対象が異なる
JADAで公開されるガイドラインは、アメリカ(USADA(米国アンチ・ドーピング機構))などでも公開されていますが、日本のものとは異なります。
日本では認証・分析機関に対し、分析対象や分析精度、運営組織の体制の基準(ISOに準ずる)などの項目がある一方、アメリカでは認証機関の運営体制(ISOの取得)についての項目が主であり、分析対象や分析精度についての項目はありません。
そしてガイドラインの項目が異なるだけではなく、両国の法律にも違いがあることから「分析対象」が異なるのです。 そのため、アスリートは第三者の認証・分析がされているから安全と判断せず、一度内容について確認する必要があります。

イルホープ社のドーピング分析について

イルホープがメーカーに提供するサービスは分析のみのサービスです。工場審査の部分の対応についてはメーカー任せにはなっていますが、分析対象についてはJADAガイドラインに準じた内容だけではなく、外部の専門家も招き最新のドーピングリストとしているため、安全性も高い分析リストであると自負しています。

イルホープの分析結果一覧
分析手法について

イルホープ社で分析した製品の安全性について、何か疑問がある場合はいつでもご質問ください。